初めまして、気楽に映画ライフと申します。
小学生の時に見た映画「ワイルドスピード」がきっかけで映画を見るのが好きになりました。現在はアラサーの会社員です。
今回から洋画を中心に自分が面白いと思ったものの紹介や
その作品の撮影の裏側などを書いていきたいと思っています。
1 概要
プライベートライアンや硫黄島二部作(父親たちの星条旗、硫黄島からの手紙)で
有名な Dream Works 製作
荒くれ物のドライバーのトニーを演じるのは、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『はじまりへの旅』に出演しているヴィゴ・モーテンセン、
天才ピアニストのドクを演じるのは、『ムーンライト』などに出演しているマハーシャラ・アリです。
あらすじ
1960年代のアメリカ南部。トニー・リポンガは、イタリア系アメリカ人です。荒っぽいが心優しい男であり、生活を守るためにさまざまな仕事をこなしていました。
一方、ドン・シャーリーは、黒人のピアニストであり、非常に教養があり知識も豊富でです。彼はクラシック音楽の才能で知られ、高級なクラブやホテルで演奏していました。
ある日、ドンは南部のツアーを計画し、ドライバー兼用心棒を探すこととなります。トニーは偶然にもこの仕事を見つけ、契約を結ぶが、トニーが初めて会った時から、彼はドンの高級なライフスタイルや教養に戸惑いを感じていていました。
二人は旅を始め、南部の各地で公演を行いますが、人種差別や偏見が依然として存在する社会に直面し、彼らの旅は順調ではありません。トニーは最初に抱いていた自身の偏見や固定観念を克服し、ドンとの関係が次第に変化していきます。彼らは互いに学び合い、友情と尊重を深めていく過程で、新たな理解と絆を築いていく様子が描かれています。
2 登場人物/キャスト
この作品の主な登場人物は二人だけととても少ないです。
トニー・”リップ”・バレロンガ/ヴィゴ・モーテンセン
本作品の主人公
イタリア系移民でナイトクラブの用心棒をしていました。
1962年当時、黒人にとっては危険な南部地域を回るツアーを計画していた
ピアニストのドクに腕っぷしの強さや堂々とした性格を買われドライバーとして働くこととなります。
演じているのは「ロードオブザリング」シリーズでも有名なヴィゴ・モーテンセン。
ドクター・ドナルド・シャーリー/マハーシャラ・アリ
天才ピアニスト、クラシックやジャズを弾くことができ、作曲もこなす。
言葉遣いや礼儀を重んじているため荒くれ物のトニーの行動によく驚いている。
実在のピアニスト、ドン・シャーリーをモデルとしているが、実際の人物像と映画の中での描かれ方には少し違いがあります。
映画では黒人コミュニティからも少し距離を置いているように描かれていますが、実際は黒人の公民権運動にも積極的に参加しており、同じ黒人の友人もたくさんいたといわれています。*1
演じているのは、「ムーンライト」で有名なマハーシャラ アリ。
個人的には、「ムーンライト」では麻薬ディーラーという今作とは真反対な役柄を見事に演じており演じる役柄の幅広さに驚きました。
3 魅力
用心棒トニーの成長
ドクと出会う前、トニーは育った環境の影響もあり黒人を下に見ていました
トニーの義父:「黒人がいるときに俺の娘を一人にするな」
トニー: 「”黒ナス”が来ると思わなくて」
また、黒人が使用したコップをゴミ箱に捨てるなど黒人嫌いでもありました。
そんな中、仕事を探していたトニーの前に”おいしい仕事”の紹介がやってきます。
それが、ドクのツアーについて回るドライバーだったのです。
そしてアメリカ深部の南部地域を回るツアーがはじまります。
ある日、ドクが招待されたパーティーでトイレを利用しようとします。
しかし、案内されたトイレは庭にずっと放置されていた汚い黒人用のトイレだったのです。
また、ドクが黒人だということで警察に不当に拘束され、トニーが警察に賄賂を贈ることで何とか釈放してもらうという出来事も起きました。
前述のとおり黒人嫌いだったトニーも旅を通して黒人が受けている差別や偏見を理解し、考えを改め成長していきます。
旅の途中では久しぶりに会った親戚たちに「あの”黒ナス”は?」と尋ねられますが、
「ボスだ」と言い直し、最初の頃に比べドクに敬意を払うようになります。
2人の友情
白人(イタリア系移民)と黒人というと多様性が認められている現在では、違いなどを意識することはないと思います。
しかし、「グリーンブック」の舞台である1962年当時のアメリカ南部では黒人への差別はとてもひどいものでした。
1962年当時の黒人差別
アメリカでは、ジムクロウ法という「黒人の一般公共施設の利用を禁止、制限した法律」
が1936年から1966年まで各州で制定されていました。
黒人は有色人種専用のトイレ、バス、レストランなどを利用しなければいけなかったのです。
このように黒人は公共交通機関(電車、バス)を自由に使うことができなかったので、長距離を移動する黒人は必ず自動車を利用して移動しなければいけませんでした。
余談ですがこのような背景があり、長距離を移動する黒人が利用できるレストラン、
ガソリンスタンド、宿などをまとめた本が”グリーンブック”として発行されていました。
互いの背景や人種の壁を越えた友情
このような状況の中で二人は仲を深めていきます。
私が一番好きなシーンで
トニーが旅の途中にフライドチキンを食べるシーンがあります。
トニーは大雑把な性格であるためフライドチキンを素手でつかんで食べますが、
ドクは最初そのように食べることを嫌がりましたが、トニーに勧められ素手で食べてみます。
食べ終わった後はチキンの骨を車の窓から捨てればいいとトニーから聞き、ドクも笑顔でそれを試してみます。
おそらくドクの目には、荒くれ物のトニーの行動はなんでも新鮮に映り、
反対に規範を重んじる黒人のドクは先入観をもつトニーにとって不思議に感じたと思います。
正反対の二人は8週間(実際には1年半)の旅をつづけ、生涯の親友となります。
4 撮影、製作の裏側
ピアノシーンはどのように撮影したのか?
この作品の魅力の一つに圧巻のピアノシーンがあげられます。
特に最後のショパン「木枯らし」の演奏はドクの技量の高さを表す名シーンだったと思います。
「戦場のピアニスト」や「海の上のピアニスト」などのピアニストが登場する映画で毎回気になることがあります。それは実際に演奏しているのかということです。
今回の最後の「木枯らし」の演奏では手元も映っていたので、
実際にマハーシャラ・アリが演奏していたのでしょうか?
正解はアリが演奏していたわけではありませんでした!
クリスバワーズというピアニストが演奏を行っていました。また、指の動きもこの
ピアニストが行っており、合成したものだったようです。*2
しかし、アリがなにもしてないかというとそうではなく、バワーズから一か月程度みっちりピアニストの姿勢や体の動きについてレッスンを受けていたみたいです。
セリフや役になり切りながらピアノを弾いているふりをこなすのはとても凄いことだと思います。
二人のその後は?
ご存じの方もいるかもしれませんが、この映画は実話をもとにしています。
この作品にも出ている俳優、脚本家のニック・ヴァレロンガがドクから聞いた話や
トニーが妻あてに書いた手紙が基となっています。
トニー・リップは1年半に及ぶ旅の後再びクラブに戻り、支配人にまで登り詰めます。
そのクラブでなんと映画監督のコッポラに出会い「ゴッドファーザー(1972)」でカーマインルペルタッツィを演じ、映画デビューしました。
ドクは、演奏活動を続けながらカーネギーホールの上にある高級マンションに2013年に心臓病で亡くなるまで住み続けました。
二人は旅の後、頻繁に会うということはなかったそうですが、トニーは息子によく旅の話をしていたというので、それだけ大切に思っていたということが伝わってきますね。
5「グリーンブック」に似ている映画は?
グリーンブックに似ている作品として「最強の二人(2011)」が挙げられます。
これも実話をもとにしており、首から下がマヒしてしまった男と刑務所から出たばかりの青年の交流が笑いと涙を交えて描かれています。
男同士の友情をモチーフにした題材はとても多いので他にもあったら是非教えてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。